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【レポート・前編】藤井さん・岡村社長の考えるNo.3「わたしと組織の未来のカタチ」

2020.08.08 開催

8月8日(土)に、オンラインイベント「藤井さん・岡村社長の考える『わたしと組織の未来のカタチ』」を開催しました。

「◯◯さんと岡村社長の考えるシリーズ」として、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく変わりはじめている「働き方」に関して、
様々な切り口からスポットライトをあて、ゲストともに考えていく本イベント。
6月に京都工芸繊維大学の仲教授、7月には一般社団法人RELEASE;の桜井さんをお招きし、
それぞれ「ワークプレイス」・「中小企業」というキーワードで、ウエダ本社代表 岡村社長とお話頂きました。
くわしくはそれぞれのレポートをぜひご覧ください!
 No.1 仲先生・岡村社長の考える”はたらく”の未来って?前編後編
 No.2 桜井さん・岡村社長の考えるこれから中小企業はどうはたらく?

 

第3回目の今回は、「ふるさと副業」など様々な働き方を提案し続けておられる
(株)リクルートキャリア HR統括編集長 藤井 薫(ふじい かおる)さんをお迎えして、
働き手と企業がいきいきと響き合う「人と組織の新しいあり方」を探っていきました。
そのレポートを前後編に分けてお届けします!

本レポートだけでなくYoutube「Jimukinouedaチャンネル」にもアーカイブを残しております。
こちらも併せてご覧ください!

 

岡村社長(以下、岡村)、藤井さん(以下、藤井)

岡村: この「◯◯さんと岡村社長の考えるシリーズ」も第3回目を迎えました。
今日のゲストは、コクリ!キャンプでご一緒し「るーさん」とお呼びしている藤井 薫さんです。そのコクリ!キャンプでは参加者同士がニックネームで呼び合っており、藤井さんのことを「るーさん」と、藤井さんからは「みっくさん」と呼んでいただいて仲良くさせていただいています。
早速ですが、るーさんから自己紹介も含めて、いま何をされているか、からお話いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

藤井: 藤井です、岡村社長…みっくさんとのご縁で呼んで頂き、有り難うございます。よろしくお願いします。

リクルートに33年前に入社し、当時”情報が人間を熱くする”というCMがありましたが、情報と人の交差点に立って働き方・生き方に勇気を与え支援できることに、いまも惚れ続けています。
女性の転職を当たり前にすることを拓いた『とらばーゆ』などは、その象徴です。入社後は、エンジニアを支援する『TECH B-ing』編集長や、アントレプレナー、起業家を支援する『アントレ』編集長、人と雇用の研究をおこなうリクルートワークス研究所も経験しました。

現在はリクルートグループ内の様々なナレッジシェア・事業開発を横断で支援しているリクルート経営コンピタンス研究所に所属しながら、主務では、HR統括編集長として、”未来の働く”に関して、メディアや講演などを通じて社外発信しております。また土日は、大学で先生もしていますし、本業はバイクのレーサーと言っているんですが(笑)、世の中がどのように回転し・時空が動いているのかに興味があり、広い意味で、30数年、人と組織の可能性を拓く”編集”に関わっています。
まず私から、いま世の中がどのように見えているのかを、少しお話したいと思います。

コロナによる「企業」「企業と個人」「個人」における変化とは

藤井: 転職市場や働く職場でのコロナによる変化として、まず注目したいのが、企業×働く職場の変化。そこでは、権威の失墜と再生(AFTER PEST)が加速してゆくと考えています。
14世紀にもヨーロッパでパンデミックが起き、その後、ルネッサンス(再生)に繋がりました。「権威ある人よりもコミットメントをする人」と力点が移行して行ったのです。
同じことが現代の企業の中でも生まれているように感じます。全てがオープン化・フラット化し、誰が偉い人がわからないZOOMミーティングは、その象徴ですね。企業と個人の関係においては、IoAが普及してくるでしょう。
いままでよく聞いていたのはIoTだと思いますが、IoAの「A」は「Abilitiy=能力」で、一人ひとりの能力…物を持ち上げる筋力や、和やかな会話力、手先の器用さなど…がインターネットにつながることで、
地球の裏側からも「あなたに助けてほしい!」と言われるチャンスが広がっていきます。時空間多重分割という言葉もあります。大きなデータをパケットと呼ばれる小包に分けて送受信し、それを統合することができれば、多くのデータが流れるという技術のことです。これと同じ現象が、働く場でも起こると思っています。

スキマ・ナガラ・ナカマとは、待ち合わせの約束時間までの30分のスキマ時間で、パッと連絡してネイルをしてもらう。
しかも、スマホでオンライン上のナカマとドラマを観ナガラといったことが、働くシーンでも当たり前になると言うこと。

これまでの、9-17時に、同じ場所で、同じ人たちと、という考え方が変わりつつあるということです。働く個人にとっては「アンサングヒーロー」がキーワードになってくるでしょう。
縁の下の力持ちという意味で、特に今回のパンデミックのような変化の時に、これまで光の当たらなかった人たちが大活躍することが予見されています。

また、最近のzoomやyoutubeチャンネルの普及に見られるように、従来のベテラン・未経験者という立場関係なく、新しいことへのチャレンジするニューヒーロー、ニューヒロインが生まれていくと思います。

わたしたちの中の「間」が変わる?

藤井: また、今回のコロナ禍の影響で、色々な「間」…時間・空間・人間(じんかん)すなわち時の間、場所の間、人の間がこれからどんどん変わっていくことを実感しています。

「たまりの頭進」という生物用語があります。

生命進化と共に、”たまり”、つまり、うっ血のような状態が腸から頭の方向に向かって見られるという減少です。コロナ禍の今の組織にも、隙間がなくなって、流れもなくなってしまっていると思います。
また、いま私たちもPC(zoom)を介して話していますが、便利な一方で、これまでの職場に漂っていた、視覚以外の情報が遮られてしまっています。
佇まいや気、見守れている感じなど…目に見えないけれど、必ずあるものが、視覚に囚われてしまってシンタイの喪失が起こっています。生産性の議論になると、今は、オンライン会議の前にアジェンダ設定しスムーズにすすめる等、無駄を削ぎ落とす流れがあります。

一方で無駄話はしづらくなり、「できる」ことが見える化されてきたのは嬉しいけど、「いる」だけは許されない風潮も強まりました。
締め付けすぎると組織は硬くなってしまいます。
人と人の間を窮屈にしないために、二つのマツリゴト(ガバナンスとフェスティバル)が重要だと感じていて、この後みっくさんとお話できたらいいなと思います。

 

岡村: ありがとうございます。
冒頭ご紹介を端折ってしまいましたが、リクルート一筋で「働く」を色んな角度から見てこられた藤井さんに話を聞きたいと思いゲストにお招きし、短い時間で完璧に表して頂いたなあと思いました。
オンライン化で無駄を削いでしまう、「いる」だけでは許されなくなると仰っていましたが、現場レベルで言うとzoomやTeamsが使えれば業務は事足りてきます。
るーさんから見て、会社に来なくても業務は回る状況で何を残さないといけないのでしょうか。

「働く」は人の重なる力のかたち

藤井: 世の中全体が頭でっかち病…頭ばかり力が注がれていて、本当は頭と体、意識と無意識が一体になってるものなのですが、前者ばかりになっているように感じます。
実は、コクリ!キャンプでも自分は”漢字おじさん”として「考えるな、漢字で感じろ、藤井薫です」なんて言ったんですけど(笑)、
「働く」という漢字はひとへん・重なるの重・力で構成されています。


これを「人が重なる力」と考えると、オンラインだからこその人の重なり方が生まれている一方、フィジカルだからこそ…対話をしたり、猛暑の現場で一緒に汗だくになるからこそ…の重なる力があると思います。
いろんな種類の「人の重なる力」が生まれるといいですよね。また「重い」という読み方をすれば、いまは少し(働くことの意味が)軽くなっちゃったのかなと感じます。働くことは個人にとって生き方、企業にとっては社会的使命でもあるという意味でも、それぞれに命が介在している。
そのはずなのに、重さ、深さ、豊かさがパラパラしている感じがあり、もったいない気はしますね。

 

岡村: オンラインでできる「人が重なる力」とオフラインでできる「人が重なる力」のあり方をそれぞれ考えていけばいいということですよね。

息を吐くときに、無意識性が高まる

藤井: 身体論では、息を吸っているときは意識が優位になり、息を吐いているときは無意識が優位になると言われています。
何かを入手・インプットを多く入れようということよりも、持っているもの息を吐くように手放していくことの方が大事になってくるように思います。「目と口」「鼻と耳」をそれぞれ縦、横のラインとして身体論では捉えます。
縦の「目と口」は開閉をコントロールできますが、横の「鼻と耳」は常に開いていてコントロールできません。
世の中全体が意識しコントロールできる「目と口」…何を言うか・見るかばかり偏重し、「鼻と耳」…しっかり聞き、香りを味わう無意識の部分が、働くからなくなりそうな気がします。
岡村: 教育や人間形成を考えると、どうしても「目と口」…データやそれらをインプットすることが重要視されますが、「鼻と耳」をより大切にやっていくことが大事なんでしょうか。

学習は無意識の部分に支えられた活動

藤井: 「学習」という感じの「学」の旧字は、上の3つの点の部分は元々少し難しい作りで、カタカナの「メ」2つを左右の手が包んでいる様子です。その下のワ冠の部分は屋根を表し、その下に子どもがあります。
つまり、学び舎に子どもが居てその両側から先生が「もっとこうしたらいいんじゃないの?」身振り手振り、繰り返し教える、ということが学びの中に入っています。

「習」は羽に白と書きますがヒナの意味があり、「お父さんお母さん、兄姉のように飛んでみたらどうか?」と真似て、飛べるようになってくる…ということが想像できますね。
その意味では、一緒の学び舎に師がいて、身振り手振り教えながら、トライ&エラー&ラーンをくり返していくことが「学習」だと思うんですね。でも現代では、人生の師がいなかったり身振りがなくなったり、「失敗してもいいから飛んでごらん」と言われるチャンスがなくなっていて、
「学習」の本意がだんだん失われている。そういう意味で、教育でももったいなさを感じています。

 

岡村: 冒頭のご紹介の中で、時間の掛け方(何に時間を掛けるか)が違うと話しておられましたが、
求めているものが変わってきているので仰っているような状態になってしまうと思います。
時間という切り口では「間」のお話も有りましたが、もう少しお聞かせいただきたいです。

 

藤井: 京都ですので「絶対矛盾的自己同一」などが有名な西田幾多郎さんの話をしたいのですが、
先程触れた生物学者の福岡伸一さんとは以前対談もさせていただいて、福岡さんは”福岡さんが西田幾多郎さんを読む”なんて本も出されているんですが…

 

岡村: 最近買って読んでいますよ、『福岡伸一、西田哲学を読む』ね。

宮本武蔵に学ぶ、日本は「間」の国?

藤井: 生物学の動的平衡と絶対矛盾的自己同一の考え方が呼応していて、時間即空間なんていう表現もありましたが、
これを普通の言葉でいうと「ちょっと君、マジメだよね」っていう時の「マジメ」は間が締まっているように見えるんですよね。
「なんかちょっと間延びしてるよね、このプロジェクト」では間が延びすぎちゃっていて、「間違いだよね」「間抜けだよね」では間が違ったり抜けている。宮本武蔵が間合いを大事に捉えたように、「世間」にも「仲間」にも間が入っており、ほとほと日本は「間」の国なのかなと。特に京都からは、そういうのを感じます。そして、組織の中の時間・空間の「間」のいい間合いというのは、静的に固定して決めるというより、その時々に応じて動的に変える。組織では「こうしよう!」と決めてしまうと、後々ルールを変えるなと怒られてしまいます。
でも本当は、我々生物はその時々に応じて間合いを変えるものですよね。
動的に、時間と空間と人間(じんかん)のちょうどいい塩梅を探っていく。いまはすごくかたくなっているようで、危ないですね。

 

岡村: 仰るとおりだと思います。
日本の強みはこの辺りにあると感じていて、それは茶道等から来ているかもしれませんし、逆に、そういう強みが茶道という日本文化にも入っていってるのかもしれません。
お茶室は非常に計算された「間」で、心理的距離を縮めて客人をもてなす間の計算があの空間に緻密に織り込まれていると思います。るーさんには2年前に京都流議定書(※毎夏さまざまなゲストをお招きし開催しているイベント。今年は9月8・9日に初のオンライン開催)に出てもらいましたが、
我々が京都流議定書を開催している一番の理由は、その日本の強みの部分です。
決して京都がすごいぞというアピールしたいわけではなく、「間」の捉え方に代表されるような日本の強みがあり、よくも悪しくも京都にはその部分が残っているので、
再発見・分析し、世界へ日本の強みを打ち出していこう!という想いから、京都流議定書を続けてきました。とは言え、形式化されないようなものなので、誰にも伝わらず廃れていっちゃうこともありえるわけです。
デジタル社会が進んでいる中で、時間的な「間」をどのように作ったり、残していけばいいんでしょうか。

〈 対談前編 おわり 〉

Writer_ あさい
Photography / Illustration_ デザイン室
・・・


〈レポート・後編〉藤井さん・岡村社長の考える「わたしと組織の未来のカタチ」 

 

イベント内容

〇〇さん・岡村社長の考えるシリーズ
ゲストをお迎えして、様々な角度から岡村社長と”はたらく”をテーマにこれからを考えるイベント
第3回目開催決定です!

 

藤井さん・岡村社長の考える「わたしと組織の未来のカタチ」

新型コロナウイルスの影響で「働き方」は、大きく変わり始めています。

“はたらくを彩る”ウエダ本社ではこの変化に合わせて6月は、これからの働く場、
7月は、中小企業の働き方に焦点をあて岡村社長と考えるシリーズとしてオンラインイベントを展開してきました。
3回目になる8月は、「人と組織の関係性」をテーマに行います。

コロナウイルス感染拡大の影響で働き方が変わり、企業と個人の関係も大きく変わっていくことでしょう。

人材不足が続く中、さらに今後、時間や場所に縛られない働き方が進むと組織はどうなっていくのでしょうか?どんな人と働いていくことができるのでしょうか?

そこで今回は、「ふるさと副業」など様々な働き方を提案し続けておられる(株)リクルートキャリア HR統括編集長 藤井薫さまをお迎えして
働き手と企業がいきいきと響き合う「人と組織の新しいあり方」を一緒に考えていきたいと思います。

今後の採用も含め、これからの”はたらく”をつくっていく人たちのヒントを探りましょう!

日時 8月8日(土)13:00~15:00
場所 オンライン開催
※お申込みいただいたメールアドレスに参加用のURLをお送りいたします。
タイムスケジュール 13:00~13:10 あいさつ・趣旨説明
13:10~14:10 「わたしと組織のみらいのカタチ」藤井 薫氏 × 岡村 充泰氏
14:10~14:15 休憩
14:15~14:45 セッション
※申込時やチャットでいただいた質問をもとに、「わたしと組織の未来のカタチ」をさらに深く考えていきます。
14:45~15:00 クロージング
15:00~15:30 アフタートーク ※自由参加
※質問タイムでお答えしきれなかったことや、まだまだ話したいことをゆるっとお話する時間です。
15:30     終了
登壇者 藤井 薫氏(株式会社リクルートキャリア HR 統括編集長
岡村 充泰氏(株式会社ウエダ本社代表取締役社長)
参加費 無料

 

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