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社長ブログ

2020.10.04

サンゴから考える強さと豊かさ

先日、アメリカ大統領選に向けた第一回目のテレビ討論会が行われました。

日本で報道されている一部分しか見ていないですが、全部を見られた方のコメントを聞いても、”お爺さんの年代の人の子供の喧嘩”と言われる様に、なじり合いという本当に情けないものだった様です。

問題は、まだまだアメリカが世界で一番の大国である事は間違いなく、その国の強権を持った大統領を決める選挙なのですから、情けないでは済まされず、世界中の人に影響する恐ろしい事です。

勿論それは、相手の失点を引き出す為であったり、攻める姿勢での強さをアピールするなど、意図的な戦略であるのだと思いますが、それにしても幼稚で短絡的すぎないか?と思います。

一方では、今回のコロナという問題が、何か、人類に向けたラストメッセージの様な気がしてなりません。

気候変動で大規模な山火事、台風、洪水などの自然災害が起きても、その被害が起きた地域だけの問題で自分事にならない人類に対して、全世界、全人類の問題ですよ!という警告で、ここで気づかないと、今後はコロナだけではなく、この種のウィルス攻撃もドンドン起こして行きますよ!的な、そんな警告の様に思えるのです。

そんな想いからも、先月行なった京都流議定書の今年のテーマは、”人類はどの様に共存していくのか?”としたのですが、これは人類同士の共存という意味と、人類は地球上もしくは宇宙全体の生命体とどの様に共存していくのか?という問いかけをさせて頂いたのでした。

そこでご登壇頂いた皆さんには、それぞれの全く別の見地でありながら、我々がどの様に進んでいくべきか?について、見事に同じような示唆を頂いていましたが、まずこれまでの西洋的な打ち勝つ、特に相手を蹴落すという競争ではなく、共生ということを考えていかなくては?というお話でした。

共存と共生、微妙な違いもあり、理想的な世界は共生なのかもしれませんが、コロナや新種のウィルスと共生というのも違う感じがしますし、やはり今年のテーマとしては、個々が折り合いをつけてどう生きていくのか?という、共存なのかなと思います。

それはさておき、中でも印象的だったのが、初日の”人と命と社会”というセッションでのサンゴの話でした。

弱いサンゴは、共生することによって多様性を増して、環境に適応して来たとのことですが、逆に一つが生き残ると多様性が無くなって、却って生き残れなくなるというお話で、弱いから色々なサンゴが生まれ、色々なパートナーと共生し、生態系の25%を支える存在となって、五億年もの間生き続けて来たということでした。

一見、競争ではなく共生などと言うと、少なくとも経済界においては、何を甘っちょろいことを言ってるんだ!となりますが、サンゴの話を聞いていても、何が強いということなのか?何が打ち勝つということなのか?まずはその定義、その視点から見直さないといけないと思います。

相手を蹴落として一強になっていくことによって多様性が無くなり、変化に順応できなくなって絶滅していくのに対して、弱いから共生をし、多様性を生んで5億年も生き続けているというのは、むしろ強くて、立派に生存競争の中で、たくましく生き残っているのです。

要は、どういうスパンで見るか?という事であって、相手を蹴落としてというのは短期的に、自分や自社、自国の利益だけを考えるからそうなるのであって、長期的に考えれば、自社だけではなく地域がとなり、自国がではなく世界が、もしくは地球が良くならないと、結果生き残れなくなるのです。

討論会での反応で、アメリカ人は強いリーダーを求めるので、相手を攻撃する姿で却って評価されるというコメントもありましたが、5億年生き続けてきたサンゴが証明する様に、そんな手法は長期的に見れば弱い話であり、しかも目先の自分のことしか考えていないことを自ら露呈している様なものだと思います。

まあ、何処の世界でも周りには、その様な思考の人もいると思いますが、これまでは別にしても少なくとも、地球規模での警告が出されている今からは、豊かさや強さの意味合い、我々自身の尺度を大きく転換しなくてはならないと思います。

これまでの打ち負かす感覚で、大きさや強さを目指したり、アピールしている人は、却って長い目で見ると弱い人なんだと一歩引いて眺めてみると、見え方が変わっていくと思います。

実は私は以前から、そんな風に人や組織を一歩引いて見ているので、違う見え方をしていたのかもしれません。(笑)

*サンゴの話も含めて興味持って頂いた方は、YouTubeのJimukinouedaチャンネル https://www.youtube.com/c/Jimukinouedaにご登録頂いて、京都流議定書の”人と命と社会”のセッションをご覧ください!

 

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