テロワールの精神で

今週は、カルビー創業家で元社長でもあった松尾雅彦さんの一周忌の追悼会が京都で行われ、私も参加させて頂いているトップフォーラムという会を通じて所縁のある方、約60名が全国から集まっておられました。

元カルビー会長の松本さん、元LIXIL社長の藤森さん、伊那食品工業の塚越会長などなど、凄い面々が有志で集まられ、一部、二部、懇親会を通じて、20名程の方が、思い出話をお話されていく、ただそれだけの会だったのですが、そんな方々がされるお話と、それだけで長時間持つという事を見て改めて、松尾さんのお人柄と実績、その源泉となる想いの強さを感じました。

それだけのお歴々が異口同音に仰るのは、”松尾さんの話は難しくって殆ど分からない”という事ですが、それでも、これだけの人を引き付けるのですから、半端ないレベルの想いの強さが重要なのでしょうね。

カルビーの経営を松本さんに託されてからは、フランスで見て来られた事をベースに創られた”日本で最も美しい連合”の展開と、著書も出されたスマートテロワール構想を日本に広め、衰退していく農業と増えていく耕作放棄地で日本を大転換させるという想いで動いておられました。

スマートテロワールとは、”美しく強靭な農村自給圏”との事ですが、テロワールとは、”その地域独自の風土、景観、品種、栽培法などが育む特徴ある地域”という事らしく、そういう意味では、この会に入らせて頂いたお陰で、美しい村連合に訪問させて頂く事も多かったので、私自身、会社を展開していく上での思想にも、少なからず影響を受けた様に思います。

「目に見えない価値が重要」と掲げて、京都流議定書を行ったのは11年前ですが、外形的な数字だけの評価、またそれだけを求めた事による、行き過ぎた、効率性、均一性、地域で言えば東京一極集中や、東京が日本と考えた東京からのオペレーションへの疑問や反発を強めていったのは、テロワール構想にも影響を受けていたと思います。

カルビ―大躍進となる大ヒット商品”かっぱえびせん”は、まだお米が潤沢に食べられなかった頃、皆をお腹一杯にする為に小麦でお菓子を作る事を創業者が考えられた事と、当時広島でしか食べていなかった未利用のエビを使う事からできた商品だそうですが、その苦しい時代から、単に儲けるというだけではなく、国民の為や、未利用資源の利用など、テロワールに繋がる源があったのだと思います。

そのカルビーを、”良い会社だけれど経営は下手くそ”だったと切って捨てる松本さんを会長に招聘し、上場を託したのが雅彦さんで、以来、カルビーの経営は離れ、テロワール活動に没頭されていったのでした。

”経営は下手くそ”と松尾さんがおられる前でも、はばからず仰る松本さんですが、日本の数少ないプロ経営者と言われる通り、単なるコストカッターではなく、フィロソフィーは松尾さんしか語れないと、松塾という社内勉強会を全国で催して、松尾さんと一緒に回っておられました。

そんな話も含めて、凄い方々から大人な話を聞かせて頂いて、スキルや知識の勉強では得られない、ずっしりとお腹にくる気づきというのか、経営において大切なものを考えさせられる時間でした。

実は私自身、何の為に会社をやっているのか?を突き詰めていくと、変な話ですが死んだ後の事を考えていたりします。

それは深い話になるので、又いずれにしたいですが、私も死んだ後に、皆が語ってくれる様な生き方を、あと何年あるのか分かりませんが、していきたいと思いますし、松尾さんに少しでも近づける事になれば、又、松尾さんの想いが、世の中に貢献された事になると思いますので、少しでもそんな恩返しができればと思います。

湿っぽい話ではなく、それに向けて明るく楽しんで参ります!